(1)古浜縮緬(こはまちりめん) |
丹後の代表的縮緬。ふつうの縮緬より細い経糸を2越に織る。精緻なシボ(普通縮緬と錦紗縮緬の中間の大きさ)が出来る。
|
(2)鶉縮緬(うずらちりめん) |
経糸に無撚りの生糸またはレーヨン糸など、緯糸にSZ強撚の生糸またはレーヨン糸などを、4本あるいは6本交互に使用し精練によって特殊なシボを現した織物。一般の縮緬が左右2越づつ交互に打ち込まれるのに対し、鶉縮緬は同方向の強撚糸を4〜6越連続して打込むため、シボが大きいのが特徴で、連続して打込まれる強撚糸の数によって4本鶉、6本鶉などともいう。鬼縮緬、鎖縮緬ともいい、着尺や帯地などに用いる。岐阜・丹後が主産地。岐阜地方では鬼シボ縮緬という。 |
(3)鎖縮緬(くさりちりめん) |
鶉縮緬に同じ。 |
(4)鶉絽(うずらろ) |
鶉縮緬を絽織りにしたもの。 |
(5)楊柳縮緬(ようりゅうちりめん) |
経糸に生糸またはレーヨン糸、緯糸に片強撚の生糸またはレーヨン糸を使用した平織物のもので、精練後にタテスジのシボが現れる。 |
(6)紋縮緬(もんちりめん)
|
ジャカード装置によって、経糸を浮かせ文様を織り出す。文様の部分の組織が強くないため縦糸を密にし、緯に普通の縮緬より細手の強撚糸を用いるので、地が薄く折り目は細かい。仕上加工は普通の縮緬に同じ。経緯共に正絹糸の本製、経が正絹糸、緯に正絹糸と玉糸の交撚の相製経に正絹糸、緯が玉糸の玉製、緯が紡績糸の紡製の別がある。 |
(7)一越縮緬(ひとこしちりめん)
|
織物では経糸は1本2本と数え、緯糸は一越、二越と数える。緯糸に左撚右撚の強撚糸を交互に、つまり一越に用いた絹織物。縮緬シボが細かい高級品で、用途は最も広く、着尺、コート、帯、半襟、帯揚その他長襦袢など。 |
(8)黄石縮緬(こうせきちりめん) |
支那の天蚕糸を使用したもので、黄味を帯び染料で染まらないそのままの光沢を生かしている。 |
(9)高貴織縮緬(こうきおりちりめん) |
略して高貴。経には諸撚り、緯には片撚りの練染糸を使用し、飛斜文の組織に織った変化斜織りで綾糸織りの1着尺地や羽尺地に使用。 |
(10)錦紗縮緬(きんしゃちりめん) |
錦紗お召しの通称。現在は主に錦紗縮緬をさす。錦紗縮緬は経糸・緯糸共に細かい生糸を用い、経糸を密にして、緯糸に右撚左撚の強撚糸を一段ごとに交互に織り込む。普通の縮緬に比べ糸が細かく密なので、シボが極めて細かく平滑で光沢があり、軽いのが特徴。高級品の縮緬で、戦前まで染生地として流行し、今は裾廻しや羽織裏などに使用する。 |
(11)絽縮緬(ろちりめん) |
紗と平を組合せた組織のカラミ織物で、緯糸に強撚糸を用いて縮緬の地風を出した絽。夏の着尺、カーテン地など。緯糸3本・5本・7本など奇数の本数をあけて、次の緯糸の位置で経糸を絡める。三越絽、五越絽などという。平絽、綾絽、変化絽、堅絽、緯絽、経絽などがある。 |
(12)別赤縮緬(べつあかちりめん) |
経に生糸、緯に紡績絹糸を用い、縮緬と同じ方法で製織する。生糸の使用量が絹紡糸より多いのが普通。名の由来は、東北地方に産するやや赤味を帯びた生糸を縮緬緯に古くから用いたが、手触りも豊かで外観も優れたので、これに似せて絹紡糸を代用し、別赤の名を用いた。 |
(13)結縮緬(むすびちりめん) |
短い生糸(30cmくらい)を手で結んでつなぎ、緯糸に使用したもの。岐阜地方で始まる。様々の間隔で見られる結び目が味わいとなる。戦前に他の絹織物の残糸の活用法として行われ、糸は内職で結ばれた。現在では趣味の織物として好まれるようになり、一般消費者が余暇を利用して結び、取扱店を通して製織を委託し、好みの織物にするという方式も広がっている。 |
(14)壁縮緬(かべちりめん) |
壁織りの一種。経糸に生糸、緯糸に壁糸を用い、縮仕上げしたもの。(壁糸 強い下撚をかけた糸と撚りのない糸を引揃えて下撚と反対方向の上撚をかけた糸で、一方の糸に他方が巻き付いた状態になる。) |
(15)壁絽縮緬(かべろちりめん) |
絽織の一種。壁糸を緯糸として織り込んだもの。 |
(16)烏帽子縮緬(えぼしちりめん) |
緯糸に左撚右撚4越づつ(或は6越づつ)用いた縮緬を「4越」をもじって烏帽子とよんだ。また左撚2本、撚のない糸を2本、右撚2本の順序の4越に緯糸を織込み、小さい横段が現れるようにしたものをこのように呼ぶ例もある。 |
(17)綿縮緬(めんちりめん) |
綿糸を使用したもので、兵児帯などに使うと、滑りが悪く解けにくい長所がある。 |
(18)ガス縮緬(ガス縮緬) |
ガス糸を用いた綿縮緬の一種。明治15年丹後縮緬の産地で創製。 |